検査が有用なのは、たとえばワクチン接種後の結果を評価するために、抗体価を測定する場合だけである。 補体結合反応はウイルスの内部たんぱく質に対する抗体の存在を示すものであるが、この抗体の存続期間はわずかである。
しかもそれが存在するかどうかはまちまちであり、幼児は反応性に乏しい。 その利点から見て、この方法に代わってウイルス抗原を直接検出する技術が用いられるようになった。
鑑別診断、単なる臨床診断だけで、いわゆる〈インフルエンザ〉病の正確な病因を決定することはできない。 急性呼吸器疾患の完全な専門的診断はまだ一般的に普及したものではない。
というのは、インフルエンザ・ウイルスに加えて、常在する約一O種ものウイルスを総合的に調べてみる必要があるからである。 その検査法は以赤血球凝集抑制反応(次頁の図版および第四章の赤血球凝集素を参照のこと)は赤血球凝集素に対する抗体の存在を示すもので、抗体保持者がその抗体に対応するウイルスに権患することから保護されている程度を示すものとして有用である。
抗体価が限界値(約四○分のこ以上の場合には、相当するウイルスに感染する危険度は事実上ゼロであることが知られている。 これらの抗体は長期間にわたって存続するので、最近、感染があった場合、その診断を下すのに役立つものである。
ただし、検体を二度採取して調べることが可能な場合は別である一回目は可能な限り早い時期に、二回目は回復した数日後に調べる。 したがって、赤血球凝集抑制反応の結果が得られるのはしばしば遅すぎるので、真の実用性に乏しい。
このタイプの検査が有用なのは、たとえばワクチン接種後の結果を評価するために、抗体価を測定する場合だけである。 補体結合反応はウイルスの内部たんぱく質に対する抗体の存在を示すものであるが、この抗体の存続期間はわずかである。
しかもそれが存在するかどうかはまちまちであり、幼児は反応性に乏しい。 その利点から見て、この方法に代わってウイルス抗原を直接検出する技術が用いられるようになった。
インフルエンザはミクソウイルス科に属する特殊なウイルスによって惹き起こされる。 インフルエンザはさらにA型、B型、C型の三砲に分けられるが、それらの重篤度は同じではない。

急性の呼吸器疾患を惹き起こすものには、ほかにもミクソウイルスによく似たグループ(パラミクソウイルス科)と、まったく異なる。 ミクソウイルスの形態インフルエンザ・ウイルスは球形、卵形、またはフィラメント様の長い形をもち、その直径は八○ないし毛で覆われているのが見える。
出制成成分によっては支柱の上で撰んでいたり潰れていたりしており、またのこと〕は固さに乏しいようである。 ノイラミニターゼこれは酵素活性をもった糖たんぱく質である。
NAは細胞表面の糖たんぱく質からシアル酸(ノイラミン酸)分子を切り出す。 ヴィリオン表面に存在するたんぱく質としては、NAはHAに比べるとその量は少なM2たんぱく質これは九六個のアミノ酸より成るたんぱく質で、脂質膜に固定されており、ヴィリオン内部の耐を調節するためのイオンチャネルの役割を果たしている。
ウイルスが細胞内に侵入するときや糖たんぱく質の成熟化にこのM2が関与する。 非構成たんぱく質このたんぱく質はヴィリオン中には認められないが、ウイルスの複製に際してウイルス遺伝子にコードされて合成される。
このたんぱく質にはNS1とNS2があり、サイズは小さく機能は不明である。 主要なたんぱく質のサイズと特徴を第一表(万頁)に示した。
ウイルス株の呼称、ウイルス株のそれぞれに様々な情報が込められた公式名が与えられているが、それによってウイルス株の歴史的由来と区別に必要な主な要素を知ることができる。 一九八○年までは、ウイルス株の名称にはそのウイルスが分離された動物種を示す記号が含まれていた。
左端のAはA型、次いで動物名(動物名のないのはヒトから分離されたもの)、分離された土地名、その年に分離された順番、分離年、括弧内はHAとNAの亜型、の順序で示してある〕。 一九八○年になって、これらの様々なウイルス株の構造がよく似通っているのでそれらを区別すべきでないこと、さらにウイルスが動物種聞の壁を乗り越えて伝播する実例がいくらでもあることがわかったのなる。
たった一個のウイルスが感染しても、一個の細胞は数百個の完全なヴィリオンを生産する。 細胞はこれだけ大量のウイルスを生産すると精根を使い果たしてゆっくりと死滅する。
動物種を示す記号は取り除かれ、すべてのHAとNAはもっと簡単なグループに再分類された(HAが4種類、NAが九種類)。 すなわち、ウイルスの型/ウイルスが分離された動物種(その記載がない場合はヒトに由来する)/分離された場所/ウイルスに与えられた地域番号/分離年は最後の二桁の数字で、それに抗原型は括弧内に(H赤血球凝集家、Nノイラミニダゼ)、の順で記載することになった。

したがって、前記の動物に由来するウイルス株の例は以下のように示すことになる。 赤血球凝集素とノイラミニダゼの血清型に関しては、ウイルス株によってもっと微細な抗原性の違いがな変異株を代表するものとして科学界によって決められている。
とりわけH3N2亜型に属するものには以下のような株がある。 流行の名称、インフルエンザの世界的大流行とそれを惹き起こしたウイルスには俗名がつけられている。
例えば、スペイン風邪、イタリア風邪、アジア風邪、ホンコン風邪などがそれであるが、これらの呼称は実際は意味に乏しく、むしろ様々な大流行に対する目印というべきものにす、ぎない。 しかし、大流行に発展する危険性をもった新しい変異株のほとんどはアジア、それも中国の中部に起源をもっていたことは作り話ではない。
中国に起源がある場合には、リアルタイムで疫学情報を得ることは必ずしも容易なことではない。 ウイルスはその発祥地の早所に姿である。
他の場を現わすその七七年の〈ロシア風邪》で、これは実は中国が起源だった。 変異株にはそれが見つけられた場所の名前がつけられる。

例えばホンコン株、シンガポール株、北京株などであるが、これらは必ずしも真の発祥地ではない。 死亡率、インフルエンザが流行する期間中、多数の死亡屈が〈インフルエンザ〉を死因として提出される。
最近度によって違いがあり、数百人から二○○○ないし三○○○人のあいだとなっている。 インフルエンザを直接死因とする人たち以外にも、〈全死因〉による死亡者数が流行の全期間を通じて、またその後のしばらくの問もいちじるしく増加していることに気づく。
この現象はかなり以前からわかっていたことで、それぞれの流行について漏れなく立証することが可能である。 しかし、国により、季節により、また観察者によって〈全超過死亡者数〉とインフルエンザによる死亡者数の聞には数値の不一致が見られる。
フランスで行なわれたある調査によれば、インフルエンザを死因として届出された一症例につき超過死亡者数は二・六となっているが、一方ほかの疾患についてはむしろそれよりも高い五1一Oの間の数値を示している。 これらの特質はウイルス株が違えば病原性が変わることに由来していると思われる。

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